A級・杉本優太、女子級・谷みいな、B級・今城貴仁が戴冠
文部大臣賞 第70回 全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会@名古屋・名東スポーツセンター
各級優勝者。左からA級・杉本優太、女子級・谷みいな、B級・今城貴仁
11月5日(日)は『文部大臣賞 第70回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会』、通称アマローテの決勝日。既に前日会場に集まった約400名は半数以下にまで絞られている。
まずはB級から。勝者側から勝ち上がったのは広島の今城貴仁、敗者側からは勝者ベスト4で裏に回った大分の首藤洋助が3連勝で決勝の舞台へ。決勝は今城が首藤を57点に抑えて全国タイトル獲得だ。今城は球歴5年の22歳。広島にはあのレジェンドがいるのだから、これからは同じ舞台で更なる高みを目指して欲しい。
B級優勝・今城貴仁
B級2位・首藤洋助
B級3位・山野哲司
女子級では3連覇を目指す神奈川の坂田夕紀が順調に勝ち星を積み上げ、堂々勝者側から決勝に進む。そして迎えた対戦相手が、同じ車で名古屋入りした谷みいなだった。大会3連覇か、アマ全国タイトル連勝か。注目の決勝は坂田が⑧からの残り3球を上がり切れずにプレーオフへ。
プレーオフももつれて坂田が⑧を入れて83-83とタイに戻したものの、⑨に出せず。谷が敗者側11連勝で大会初優勝を飾った。「敗者側に回ってからは自分がどのあたりにいるのかわからぬまま、一つ一つの試合をするのに精一杯で、気が付いたら決勝でした! 1日に11試合というのはおそらく初めてですごく楽しかったし、疲れました。優勝出来てとても嬉しいです!」とは谷のコメント。十代後半でしかあり得ない勢いで強くなっている谷。全日本選手権での活躍に期待したい。
女子級優勝・谷みいな
女子級2位・坂田夕紀
女子級3位・河内恵里
A級では連覇を目指した静岡の渡邊覚が勝者4回戦で敗者側に回ってしまう。渡邊はそこから4つ勝ったが、敗者9回戦で終了となってしまった。ちなみに優勝まではあと6勝が必要だった計算になる。佐賀国スポ記念大会に勝った神奈川の林武志は勝者ベスト4まで進むも大阪の吉岡保俊に敗れ、敗者側で1勝したものの石川の杉本優太に敗れてアマ全国タイトル連勝はならなかった。
そして、決勝では林に土を付けた2人が対峙することに。昨日の記事にも書いたが、吉岡は2019年にも勝者側から決勝へ進んで連敗を喫している。実は杉本も2018年に勝者側から勝ち上がったものの、干場修に連敗してタイトルを逃していたのだ。筆者も含めたJAPA運営チームは皆そのことを知っていたから、今年のA級決勝に関しては「どちらにも勝って欲しい」という微妙な心境だった。
A級優勝・杉本優太
A級2位・吉岡保俊
A級3位・吉喜隆一
決勝は接戦を杉本が制してプレーオフへ。そして、杉本が116-152と勝利へ近づいた⑧からがこの試合のハイライトだった。コンビで⑪を入れて163点とした杉本だったが、⑧を隠してしまいファウル。しかしこの時、⑬がセンタースポットを埋めていて、吉岡は手球センターをコール出来ない。吉岡は現状から⑧-⑮のサイドコンビを狙ったが決まらず。杉本、この緊張した場面でロングの⑧をしっかり沈め、悲願だった全国タイトルをようやく手中に収めた。
大会ハイラン賞・田中裕也
「ホントに嬉しいです!やっと、やっとです!」とコメントしてくれた杉本。男子A級の表彰写真で、これほどの満面の笑顔に出会えるのも珍しい。吉岡は今回も決勝で涙を飲むことになったが、9月にはマスターズに勝ったのだ。この秋はJAPAにとって西日本から二人の新タイトルホルダーが誕生した歴史的な季節として記憶に残るだろう。なお大会ハイラン賞は168点を叩き出した元名人位、大阪の田中裕也が獲得した。
今年のJAPAタイトル戦はこれで終了。新シーズンは1月末から第32期球聖戦と第15期女流球聖戦がスタートする。