栗林達が今期初優勝
グランプリイースト第5戦@WIND
栗林達は決勝戦で照屋勝司を相手に1-5からの逆転勝ち
10月15日(日)、埼玉県志木市の「WIND」で、グランプリイースト第5戦がおこなわれた。「WIND」は2012年に喜島安広 vs 村上泰辰の球聖位決定戦が開催された場所で、筆者にとってもそれ以来の訪問となった。
ここまでのグランプリは第3戦まで土方隼斗が3連勝を果たし、前戦ではジュリアン・セラディラがGP初優勝を果たした。しかし今回はセラディラが『Hanoi Open Pool Championship』に、土方が『エイトボール世界選手権』に出場のためそれぞれエントリーしなかったことから、今期の優勝者がいない中での開催となった。また、毎週のように試合が続くこともあってか前日予選の参加者は今期グランプリイーストでは最小となる101名に留まった。
今回はナインボール交互ブレイク「木ラック」、予選9ラック先取、決勝8先というフォーマット。「木ラック」が直接影響したかは定かではないが、前日予選では13名の第1シードのうち4名しか勝ち上がらないという波乱状態に。
今大会のスポンサーシードは青木亮二
そんな中、2022年6月にプロになった成田茂隆が嬉しいグランプリ本戦初出場を果たした。成田は今期のグランプリ全ての予選に参加。つまり、前日予選と東北予選を計10回戦って遂に勝ち残ったわけだ。本戦こそスポンサーシードの青木亮二の前に初戦負けとなったが、一度勝ち上がってしまえば次のチャンスを手にする日も遠くはないだろう。
初の本戦出場を果たした成田茂隆
さてベスト4に勝ち上がってきたのは、ここまで3戦連続準優勝だった羅立文とホームの青木を倒した西嶋大策、東北予選代表の奥崎誠アマと菅原利幸に勝った照屋勝司、今年のJPBAランキングをぐんぐん上げている杉山功起、そして今期はまだグランプリでは3位タイが最高の栗林達。
メインテーブルのコーナーポケット
ところで今回のメインテーブルのポケットがこの大きさ。木ラックも相まって皆がこのテーブルに苦戦を強いられ、同じ所属同士の対戦となった西嶋 vs 照屋はヒルヒルまで縺れ込んだ末にようやく照屋がゲームボールを落とす。もう一つの準決勝は栗林が好調な若手を抑え、大井世代の両名共に今期の初ファイナルだ。
3位タイ・杉山功起
3位タイ・西嶋大策
決勝は進行の遅れから通常サイズのポケットのテーブルでスタートしたが、準決勝で苦しめられた渋台から離れたことでキューも伸びたのか、悲願の公式戦初優勝を目指す照屋が4-0と絶好のスタートを切る。照屋はここまで公式戦で6回決勝まで進むも、なかなか初優勝に手が届かない。前回ファイナルを撞いた2017年のGP第1戦では奇しくも同じ栗林達に苦杯を舐めさせられた。
準優勝・照屋勝司
誰もが、そして本人が強く望んだ初優勝は目前に迫っていたのだが、5-1にする⑨を照屋がとばしてしまったことで流れが変わってしまう。栗林がジリジリと追い上げて6-5と逆転。最後は8-6で昨年9月の東海GP以来約一年ぶりとなる優勝を飾った。
次週の『北陸オープン』に向け弾みのつく勝利となった
栗林のグランプリでの優勝は2022年の第1戦以来10戦ぶりだ。「シュートミスだらけで運勢だけで勝つことが出来ました。今マイクを持つ手もまだ震えているくらい緊張しました」と試合後のインタビューで語った栗林。それを聞きながら思い出したのは2011年に静岡でおこなわれたグランプリの決勝、高田健二戦だ。あの時も初優勝を目指した高田が4-0とリードしたのを、栗林が捲ってみせたのだ。
強い時の栗林は芸術的なポジションプレーで対戦相手を圧倒するのだが、確かにこの日はそこまでの冴えはなかったように見える。しかし、目の前の一球に最善を尽くせば、結果は付いてくるのだ。次週、故郷での北陸オープンへ向けて、栗林も視界が開けたのではないだろうか。
大会ベスト4とベストアマ。写真左からベストアマ・奥崎誠、3位タイ・西嶋、優勝・栗林、準優勝・照屋、3位タイ・杉山
次回グランプリ第6戦は11月12日(日)に池袋ロサで開催され、その翌週からは4年ぶりの全日本選手権がスタート。今期のJPBA公式戦もいよいよ佳境を迎える。