喜島安広、4期連続防衛に成功!
第62期名人位決定戦@埼玉・セスパ東大宮
10時間を越える死闘を制した喜島安広
9月24日(日)、『第62期名人位決定戦』が現球聖位喜島安広のホーム、埼玉の『セスパ東大宮』で開催された。現名人位の喜島は小川徳郎がプロ入りしたことで空位となった第58期名人位を神奈川の林武志に勝って戴冠。以降現在まで3期連続で防衛に成功している。また第54期に現プロの和田敏幸を倒して初名人位を獲得(翌期、小川に敗れて失冠)しているので、通算在位は5期となる。
今期挑戦者の大坪和史
今期挑戦者、広島の大坪和史は第40期(!)名人。翌年失冠したため通算在位は1期で、今回勝てば実に23年ぶりの復位となる。大坪は第59期の挑戦者になったが喜島に敗れ、第60期にも連続して挑戦権に名乗りを挙げたが、体調不良から権利を愛知の木村善広に譲っている。つまり、大坪は第59期以降の4期中3期で挑戦者になっているわけだ。
喜島応援団
大坪応援団
ちなみに、第61期A級戦でも次点だったのだから、近年の挑戦者争いにおける大坪のアベレージは圧倒的だ。喜島 vs 大坪のJAPAタイトル戦はどちらもフルセットに縺れ込んだ球聖戦2回を合わせるとこれが4度目ということになる。今回のフォーマットはローテーションの1セット300点、5セット先取という長丁場だ。
試合前の両者
10時30分にスタートした第1セットは喜島が300-123で先制に成功する。このセットを見る限りでは大坪にミスが目立ち、早い決着もあるのかと思わせたが、第2セットは大坪が120-0スタートから1-1の振り出しに戻す。そしてここから最終セットまで両者2つリードを奪うことが出来ない大熱戦が繰り広げられる。
喜島は第3、第4セットを連取され、2-3とリードされた時にはっきりと「ヤバい」と感じたという。これまでなら挑戦者のミスを突いて一気にリードを拡げて試合を優位に運べていたものが、「最強」挑戦者を前にして自分のミスから勢いに乗り切れない展開に。だがそのままずるずる不利な流れに呑み込まれないのが喜島の強さだ。第5、第6セットは大坪を122点、45点に押し込んで4-3で逆転リーチをかける。
しかし大坪も簡単に土俵は割らない。大坪より入れ倒す選手は何人もいるだろうが、大坪ほどギャラリーを惹き付ける球を撞ける選手はそうはいない。第8セット最終盤、取り切れば上がりの体制に持ち込んだ大坪だが、ゲームボールの⑨はトラブル配置。これをセーフティ戦からジャンプで決めてみせたのがこの日のハイライトだったか。
試合はフルセットにもつれ込んだ
最終セットは大坪にもチャンスがあったが、喜島が10時間を越える死闘に4期連続防衛という終止符を打ってみせた。この日の大坪はミスも含めて持てる力と技を出し切ったベストの出来だったと思う。喜島の気持ちが途中どこかで折れていたら、勝負の行方はわからなかった。これで喜島の名人在位は通算6期に達し、第10~15期名人の中原正夫に並ぶ歴代2位の記録となった。
次回JAPAの全国大会は10月に大阪で開催されるB級の全国シルバースターカップ。そして11月には一年の総決算、全日本アマローテが愛知で開催される。