梶原愛が2期連続で防衛!
第14期女流球聖位決定戦@大阪・マグスミノエ
梶原愛は4-0で井上直美を下して防衛成功
4月9日(日)、大阪の『マグスミノエ』で第14期女流球聖位決定戦がおこなわれた。現女流球聖は3期連続を目指す東京の梶原愛、挑戦者は前日のフルセット死闘を制した井上直美だ。フォーマットはナインボール7ラック先取の4セット先取。
8日に続き熱戦が展開された『マグスミノエ』
梶原のこれまでの戦績を振り返っておくと、2020年11月の東日本A級戦で勝ち上がり、西日本代表の増田真紀子を倒して挑戦者に名乗りを挙げ、第12期女流球聖位の丸岡文子を4-1で下して初戴冠。2022年4月におこなわれた第13期女流球聖位戦では、挑戦者になった東日本代表の南部めぐみを4-2で退けて防衛に成功している。
午前10時にスタートした2人の戦いは予想外の結果に
最強アマ vs 公式戦優勝歴のある元プロだけにハイレベルな戦いが予想された今期だったが、蓋を開けてみれば梶原が堅実なプレーで井上を圧倒。4-0のストレートで2期連続の防衛を決めてしまった。井上にとっては4-6ビハインドからヒルヒルに追い付きかけた第11ラックで⑨をミスしたのが致命傷だったか。
井上直美は惜しくもタイトルに届かず
「今は凄く嬉しいです。スコア的には余裕があったんじゃないかと思われそうですが、内容的にはギリギリの戦いだったと思います。こんなに沢山の方が遠くから応援に駆けつけてくれて本当に力になりました。ありがとうございます」
東京から駆けつけた応援団への感謝を述べる途中で涙ぐんだ梶原。思えばこれまでの2期はマスクを着用して、声出しや応援団の人数も制限された「静かな」頂上決戦だったのだ。
梶原はさらにレベルアップしたプレーを披露
「1セットくらい取りたかったですね……。梶原さんは本当に上手い! 私は前日に9時間も同じテーブルで撞いたのに、梶原さんの方がきっちりテーブルコンディションを掴んでました」
疲れた様子も見せずそう語ってくれた井上はさらに、「私は今週末、全日本女子3C選手権に出場するのですが、是非みなさんにもスリークッションに興味を持って欲しいと思います」とコメント。全日本女子3C選手権は4月15~16日、虎ノ門の霞が関プラザホールで開催される。
井上応援団は、連日声援を送り続けた
野球に例えるなら今の梶原は制球力抜群のピッチャー。決定戦全体を通してイージーミスが少なく、手球コントロールも正確だった。対する井上はやや制球難ながら、荒れ球を持ち味にするピッチャー。土曜日の試合から総じてスクラッチが多く、残念な⑨ボールミスが多かったが、こういうタイプは乗せたら怖い。残念ながら今回はそういうプレーはあまり見られなかったが、第2セットを井上が逆転で制して1-1になっていたら、勢いに乗った井上が一気に走るシーンも見られたかもしれない。
素晴らしいプレーと勝利を後押しした梶原応援団
それにしても今回の梶原のプレーの質は高かった。2019年の鹿児島国体記念大会で準優勝したあたりまでは丁寧だが決定力がないといったイメージがあったが、女流球聖位に就いてからは着実にビリヤードスキルがアップしている。ショット選択の幅が拡がり、意味不明なミスが本当に少なくなった。ちょっと今の女子アマ界では明らかに頭一つ抜けた存在になったかもしれない。そんな梶原の次戦は今週末の関東レディースオープン。最強女子アマが百戦錬磨の女子プロ達を相手にどんなプレーを見せるかに注目したい。