井上直美が挑戦権獲得
第14期女流球聖位戦@大阪・マグスミノエ
フルセットの激戦を制して挑戦権を獲得して井上直美
例年なら桜が見頃な季節だが、今年は記録的な開花の早さでこの週末には既に葉桜になっていた。4月8日(土)、大阪の『マグスミノエ』で第14期女流球聖位戦の挑戦者決定戦がおこなわれた。今期の東西代表は東が井上直美、西が吉見佳世の両名。共にこの舞台には初登場となる。
会場となっている『マグスミノエ』
元JPBAプロの井上直美は昨年10数年ぶりとなるビリヤード復帰を遂げ、二度目のチャレンジでここまで上り詰めてきた。普段は栗林達&栗林美幸の店でポケットの練習に励むかたわらキャロムの試合にも精力的に参戦していて、復帰以降、球を撞くのが楽しくて仕方がないという感じだ。来週末には全日本女子3C選手権にも出場する。
西日本代表の吉見佳世
過去にも元プロが勝ち上がってきた例はあるが、プロ時代に公式戦2勝という実績は圧倒的。対する吉見佳世は東海勢として初めての西代表。ちなみに今季は球聖戦でも東海の島田隆嗣が代表になっている。普段ピアノ講師をしているという吉見は野球場に足を運ぶほどの大の竜党でもある。全国タイトルの馴染みは薄いが東海女流球聖位は獲得済みで、東海から全国へのランクアップなるかに注目だ。
東西代表の応援旗
試合は井上のブレイクでスタート。お互いにコンディションを掴みきれないままのせめぎ合いから井上が抜け出して第1セットは井上が7-5で先制。第2セットは井上に初マスワリが出て5-4とリードするも、そこから吉見が3連取で巻き返してセットカウントを1-1に戻し、第3セットも井上6-5リーチから逆転勝ちして先に挑戦権に王手をかける。
吉見を力づけたのは愛知からの10名近い大応援団の声援だった。コロナ前の球聖&女流球聖戦では普通の光景だったのだが、今回は久々とあって非常に新鮮に感じられ、ようやくビリヤードにも日常が戻って来たことを実感させられた。第4セットに入ると井上側の応援も活気づき、井上に2回目のマスワリも出て7-2でフルセットに。
愛知から駆けつけた吉見応援団
第5セット、両応援団の大声援が飛び交う中、井上が押し気味に試合を進めるも、追い詰められた吉見に⑤でスーパーショット(先球サイドポケットレール際へのコーナーロング)が出るなど試合は白熱。会場が大いに盛り上がる中、井上が7-4で吉見を振り切って初の挑戦者に名乗りを挙げた。
井上応援団も声援を送り続けた
「こんな凄い応援を貰って、私ってなんて幸せなんだろうと思いながら撞いてました」と、まだ興奮冷めやらぬ中、井上は応援団への感謝を口にした。明日の決戦でも更なる応援が井上の助けになるだろう。惜しくも挑戦権に手が届かなかった吉見は試合を振り返って、「試合をしながら、やはり井上さんはとても巧いなあと思いました。スーパーショットを出さなくても勝てるように、上手くなってここに帰って来ます!」とにこやかに話してくれた。吉見は来週末、二度目の東海女流球聖位決定戦に挑戦者として出場する。
井上が梶原愛に挑む女流球聖位決定戦はすでにスタートしている
ちなみに、梶原愛 vs 井上直美は初対戦とのこと。2度目の防衛戦を迎える梶原の経験値は絶大だが、この日の井上は随所に元プロらしいショット見せていた。後半戦のようにブレイクが当たり出したら一気に突っ走る展開もあるかもしれない。4セット先取となる女流球聖位決定戦は9日(日)夜半には決着する見込みだ。