竹中寛が32年越しのローテーション制覇!
第72回全日本オープンローテーション選手権大会
第62回全日本ローテーションB級選手権大会
3月19日の日曜日。大阪の『マグ・スミノエ』において『第72回全日本オープンローテーション選手権大会』ならびに『第62回全日本ローテーションB級選手権大会』が開催された。同大会の開催は4年ぶりで、今年はJPBAの『西G3』という位置づけで、これまでの全国ポイント対象から外れた。各地区から代表となった32名のプロアマが300点先取のシングルイリミネーションで競い合った。なおB級の部は120点先取(ノンコール)で、予選は『タツミ』を併用することで時間短縮に努めていた。
『マグ・スミノエ』
結論から先に入ると、優勝したのは竹中寛。実は本大会における竹中の決勝戦進出は32年ぶりのことで、その時の相手は世界チャンピオンにして国内でタイトルを欲しいままに獲っていた奥村健(JPBA、現JPBF)だった。また直近のテンボール世界選手権を含むアメリカ遠征を、ワクチン接種状況による手続き情報の行き違いにより、出発間際で断念を余儀なくされた事情も発奮材料になったのかもしれない。
3位タイ:飯間智也
3位タイ:正崎洋行
竹中は2015年本大会優勝者である田中雅明、東海のエース格になりつつある稲川雄一、そして前回大会と前々大会で連続準優勝をしている飯間智也を倒して32年ぶりのローテーション決勝戦へ駒を進めた。一方の山からは黒田祐介が北谷好宏、正崎洋行という九州勢を連破してファイナル進出を決めた。
準優勝:黒田祐介
決勝戦は1ラック目で119-1とリードした黒田が優勢で中盤までゲームを進める。しかし第4ラックで渾身の取り切りを見せた竹中が254-226と逆転して最終ラックへ突入。すると一度は主導権を握り直した黒田だったが、⑥⑦コンビが僅かに逸れて穴前に残ったところで万事休す。ゲームボールとなった⑩を沈めた竹中が大会初制覇を飾った。
優勝:竹中寛
「最後はあきらめたけど、回ってきたのはラッキーでした。でも(第4ラックの)難しい⑫⑬が入ってくれたことがもっとラッキーでしたね。あれは『お願い』ショットでした」と笑みを浮かべた。また「ラスベガスに行けなくて捨てた37万円の半分が戻ってきた。とも書いといて下さい。あれはいい社会勉強でした」と、悲しい記憶を笑いに変換していたことも流石。
B級の部入賞者
またB級の部は8名に絞った時点で本会場へ終結し、再抽選の後にシングルトーナメントを開催。どのテーブルも白熱する混戦が続出する中、ファイナルに駆け上がったのは久保隆司(兵庫・マンガの広場)と上田直樹(大阪・No.1)。両者ともに高い安定感を見せていて、B級卒業を視野に入れての参戦だと窺えた。1ラック目は上田が78-42でリードして折り返すが、2ラック目で久保が難球を決めるなどして追い上げるとそのままゲームボールを沈めて大きなタイトルを手中に収めた。
「今日はリードされる展開ばかりで苦しかったけれど運良く優勝することが出来て良かったです。ひとえにお店(マンガの広場)のお陰で感謝しています」と爽やかなコメントで締めた。
また竹中は表彰式終了後の撮影において『ペッパーミルパフォーマンス』のポーズを決めて周囲を楽しませていた。72回という長い歴史の大会の中で32年越しの優勝という偉業を成し遂げた竹中は、昨年の東海グランプリに続いて今大会で2度目の公式戦表彰台に立った正崎のように平成生まれも頭角を現す中、ベテランの力を誇示した格好で、以降の新旧勢力の激突が面白くなりそうな予感。
西日本では続いて今週末に佐賀で『西日本グランプリ第1戦』が開催される。次なるドラマに早くも期待。
写真・文/Akira TAKATA