「初優勝を献上する側にはなりたくなかった」
全日本女子プロツアー第1戦は栗林美幸が優勝!
2019年8月以来の勝利を飾った栗林美幸
3月12日(日)は『全日本女子プロツアー第1戦』の決勝日。会場の『FJD HUSTLER』には予選を勝ち上がった女子プロ16名が集まった。今回は勝者側の勝ち上がり枠が決まっており、敗者側のみの抽選だ。フォーマットはナインボール7ラック先取。裏に回った第1シードの河原千尋は曽根恭子の、第3シードの久保田知子は浜西由希子の枠を引き当てる。
会場となった『FJD HUSTLER』
ジャパンオープン覇者の佐藤麻子は丸岡文子とベスト16で激突。丸岡が先にリーチをかけたものの、佐藤が追い付いてヒルヒル。ブレイク後の配置で⑦-⑧がトラブルで残り、⑤のセーフティ戦がこの試合のクライマックスに。丸岡のショットで⑤が⑦-⑧のウインドウから入れが見えてしまい、ロングの⑤が入れば球なりでポジションされる配置だったのだが、佐藤無念の穴カタ。丸岡がベスト8に勝ち上がってツアー2勝目まであと3つと迫ったが、久保田を退けた浜西との競り合いに敗れてしまう。
3位タイ・梶谷景美
準決勝ではその浜西を7-2と抑えこんだ第4シードの栗林美幸が19年夏以来の決勝進出を決め、反対側の山からは松本みどり、河原千尋、梶谷景美と先輩プロ達をなぎ倒してきた奥田玲生が20年6月のプロ入り後初めてとなる決勝の舞台に駆け上がってきた。奥田の大会前のランキングは20位。予選の勝者2回戦でも両者は対戦していて、そこは栗林が7―4で勝っていた。昨年は丸岡、佐藤と2人のツアー初優勝者が誕生したが、果たして奥田は続けるのか。
3位タイ・浜西由希子
ベテラン vs 新鋭、注目の決勝戦は栗林のマスワリでスタートしたが、第2ラックから奥田が栗林のミスをきっちり咎めて3-1とリードを奪う。ここから栗林が3-3に戻し、奥田の⑨入れラッチが出て逆転に成功。シーソーゲームが続いて栗林が再び5-4とリードするもこの⑨をやってしまい、再びスコアはタイに。勝負所の第11ラックだったが、奥田に勿体ないミスが出て栗林がリーチ。最後はマスワリで締めて、栗林が久々のツアー優勝を飾った。
準優勝・奥田玲生
「最後に優勝したのが2019年8月の女子プロツアー。その後2年以上のツアー中断があって再開した去年は決勝にも進めなかったので、勝ちたいという気持ちが強かったと思う。でもそういう思いから身体が硬くなってリーチをかける⑨では普通のショットが出来なかったので、集中し直すためにタイムアウトを取ったのが上手くいきました」
新鋭の壁となりゲームボールを決めた栗林
プロ入り初戦となった2003年の『第1回関西レディースオープン』でいきなり準優勝だった栗林が、初優勝するまでに6戦連続して決勝で勝てなかったのは有名な話。当時のランキング上位勢に幾度も頂点を阻まれた栗林だからこそ、逆の立場になった時に勢いに乗って勝ち上がった若手に簡単に頂点を極めさせるわけにはいかなかったのだ。現在同じMEZZ所属の河原と平口結貴が熾烈なランキングトップ争いを繰り広げているが、復活優勝を遂げた栗林が「MEZZの3番目」の位置に甘んじるわけがない。
大会ベスト4。左から3位タイ・浜西、優勝・栗林、準優勝・奥田、3位タイ・梶谷
「頭が真っ白で試合中のことはよく覚えていないんです」とは試合後の奥田のコメント。今回ここまで勝ち上がった実力があるのだから、奥田がまた決勝のステージに立つ日はそう遠くないに違いない。まずは今回の活躍をフロックとライバル達に思わせないことが大事。次回の女子ツアーは4月15~16日の関東レディースオープンだ。