高知の弘田勝彦が初優勝!
第21回JPBAシニアオープン
今年もポケットビリヤード界の『同窓会』が開催された。同窓会とは『JPBAシニアオープン』のこと。シニアとはいえ世代は幅広く一括りには出来ないが、往年の名プレイヤーから現役のベテランプロアマ選手までが集う場で交わされる会話には、同窓会という名前にふさわしい懐かしい話が存分に織り込まれている。
今年も舞台は京都市伏見区の『サンク』(予選は『VAMP』併用)。関西を中心に50歳以上のプレイヤー52名が集結した。
山口栄司
棚原正巳
各予選会場で16名まで絞り込んで決勝シングルがスタート。初戦から半分のカードがヒルヒルとなる激闘を経てベスト8には枠順に徳島の青山和弘、元JPBAの宮城雅央アマ、中国支部の高橋久夫、大阪のアマチュアから山口栄司、棚原正己の2名、そして兵庫の金谷俊彦アマ、高知の弘田勝彦という布陣が顔を揃えた。
青山和弘
もう誰が勝ってもおかしくないメンバーだが、ここで気を吐いたのが現役のトーナメントプロとして活躍する青山と弘田の四国プロコンビで、続く準決勝でも青山は山口をヒルヒルで、弘田は棚原を下して、今年のファイナルは四国決戦となった。
ところでこの大会は再来年の2024年から参加資格の見直しが行われる。それは現在の「50歳以上」の条件が「55歳以上」に変更されるというもので、55歳の青山は新ルールでも既に資格を有している。一方、53歳の弘田は2年後にジャストのタイミングで適合することとなり、ルール改正にともなう当たり年という捉え方も出来る。また会場で上がった話題のひとつに「ビリヤードにおけるシニアの定義は何歳がふさわしいのか?」というものがあり興味深く耳を傾けた。個人差も大きいと感じるが、実際に国内トッププロには内垣建一、川端聡、竹中寛といった50代も少なくない。今回ファイナルに残った青山や弘田もしかりで、まだまだ衰えより進化の方が大きいと感じる。皆さんの見解はいかがだろう?
弘田勝彦
話を試合に戻して決勝戦。2-0、3-1と先行したのは青山。しかし弘田が2連取をしてゲームは振り出しに戻り実質2先となる。このゲームで大きなポイントとなっていたのはセーフティで、第7ラックのセーフティ戦を制した弘田が先にリーチをかけた。
続くラックでは青山がフリーボールの③で⑩を沈めてヒルヒルに突入。共にセーフティを繰り出した後、難解ながら②でオープンの配置をもらった弘田が渾身のランナウトを決めて優勝を飾った。「20何年もプロをやってきて初めての優勝で本当に嬉しいです。次は公式戦での優勝を目標に練習していきますので、応援をよろしくお願いします」と喜びと抱負をまとめた弘田。ファイナルの悔しさを次に生かすであろう青山ともども四国支部の躍進に期待を抱かずにいられない。また懐かしい面々が和やかに集う空気感が魅力のシニアオープン。来年の同窓会が今から楽しみだ。
左から、3位タイ:棚原正己、優勝:弘田勝彦、準優勝:青山和弘、3位タイ:山口栄司
写真・文/Akira TAKATA