喜島安広 大会4連覇&5勝目達成
第22回マスターズ@大阪・玉出ビリヤードACE
現名人位でもある喜島が強さを見せつけての4連覇
大井直幸の『テンボール世界選手権』準優勝に湧いた先週末、大阪ではアマチュアのテンボール王者を決める『第22回マスターズ』が開催された。コロナ禍に翻弄されたこの2年、ほとんどの大会が延期または中止を余儀なくされた中、マスターズだけは主催者側が十分な感染症対策を施し、関係者&選手も高い感染防止意識を持った上で、去年、今年と毎年開催を続けている。エントリーは64名。ダブルイリミネーション6ラック先取でベスト16から7先、会場は『玉出ビリヤードACE』。
会場となった『玉出ビリヤードACE』
名人位決定戦を月末に控え、前回優勝シードで臨んだ喜島安広だったが、気負うことなく勝者側から順当にベスト16入りを決めて初日を終える。その勝者側から勝ち上がった8名だが、何と全員が関東のプレイヤー。更に2日目の敗者最終とベスト16の結果、ベスト8でも全員が関東勢(※)という結果になってしまった。
3位タイ・建川雄司
東北、九州といった遠隔地からのエントリーも少なかったが、地元関西も含め、コロナ禍で地方ではほとんど試合がないのが現状。大会自粛は全国共通とはいえ、ハウストーナメントレベルであれば、やはり首都圏には試合が沢山ある。実戦経験の差がこの結果に繋がったという可能性は高い。
3位タイ・幸真司
喜島にとって、ラスト2試合は何とも複雑な心境であったに違いない。準決勝では建川雄司との2018年決勝の再戦になったが、建川は同じ『埼玉ポケットビリヤード連盟』(SPA)の仲間。喜島が先に6-5とリーチをかけた第12ラック、建川が?でミスしてしまい、喜島がレール際のカットを綺麗に決めて4年連続の決勝進出だ。
もう一つの準決勝は、磯朋如と幸真司が対戦。6-4とリーチをかけた磯がゲームボールを抜いて6-5となったが、ベテランらしい巧みなキュー捌きで勝ち上がって来た幸もさすがに疲れが出たのか追い込み切れず、磯がJAPAタイトル戦では初の決勝進出を決めた。
準優勝・磯朋如
去年のベスト16でも対戦した両者……というより、この二人が合同結婚式を行ったくらい中が良いのは周知の事実。今回も当然のように夫婦二組一緒の大阪遠征。「決勝で戦おうぜ!」なんていう少年漫画の常套文句が現実になってしまったわけだ。磯としては、ここは一発結果を出してやるという心境だったはずだが、数々のタイトルを手にして来た身近な壁はやはり高かった。喜島が堂々の大会4連覇&5勝目達成だ。
親しい者同士の決勝といえば、2000年『女子ナインボール世界選手権』のカレン・コー vs ジュリー・ケリーが有名だ。親友との決勝になり、これで悲願のナインボール世界タイトルは確実だと思ったカレン・コー。なのにジュリー・ケリーが負けてくれず、大会後に二人は大喧嘩……。もちろん、これで喜島と磯が不仲になるわけもない。二週間後の名人位決定戦では喜島を応援する磯の姿が会場で見られることだろう。勝ち負けが全てではない。それがアマチュアの良さであるはずだ。
(※)広島代表の中野雅之はこの春先から首都圏に引っ越している。