【第52回全日本選手権SP_Vol.9】JPBA男子トップランカー No.2
11月18日(月)より開催される『第52回 全日本選手権大会 ?仁親王牌』。長い1年の締めくくりである本大会は、国内で唯一にして最高峰の『SG1』グレードの大会で、頂点に立つことを誰もが一度は憧れ、夢見る舞台でもある。そこで今回は全日本の舞台で活躍が期待される男女JPBAランキングトップ5をご紹介していきたい。
男子ランキング2位は2140ptで大井直幸となっている。東京都出身でプロ入りは’06年、土方隼斗や高野智央らと同じく華の40期生の1人。デビュー初年度に年間MVPを獲得するという快挙を達成すると、その後も日本ビリヤード界を牽引し続け、これまでに通算5度のMVPに輝いている。日本人の中では群を抜くプレースピードとショット力の高さから、付いたニックネームは『ショット・ガン』。国内はもとより海外戦にも積極的に出場しており、全日本特集の川端聡と栗林達の記事でもお伝えしたように、’07年、’15年に『ワールドカップオブプール』で3位タイ入賞、同じく’15年『アジア選手権』準優勝、’12年『世界選手権』3位タイ、そして昨年の『CBSAツアー北京・密雲戦』で優勝し、自身初の国際タイトルを獲得した。
『大田区産業プラザPiO』で行われたグランプリ第4戦で史上初の5戦連続優勝の記録を打ち立てた
今季の成績は『東日本グランプリ第1戦~第4戦』優勝と、昨年の第8戦から数えて5連覇を果たしている。そして’17年・’18年準優勝だった『ジャパンオープン』を念願の初優勝と計5勝。その他には今年から『東G3』グレードとなった『東北プロフェッショナルオープン』で準優勝となっている。
全日本を制し、国内2大タイトルの同時獲得なるか
これまでの『全日本』の最高成績は’14年大会の準優勝。同大会は大井の他にも日本勢がワールドクラスの強敵達を相手に一歩も引かない戦いを繰り広げ、会場を盛り上げた。まず井上浩平がベスト32でアメリカのベテラン、ロドニー・モリスを撃破。続いてベスト32では杉原匡が’13年覇者の柯秉逸(台湾)を破った。
大井は張榮麟と大会史に残るような死闘を繰り広げた
そして大井はベスト16で同年の『ジャパンオープン』覇者のアントニオ・リニング(フィリピン)を、ベスト8で’12年『全日本』優勝、’13年準優勝の張榮麟(台湾)、ベスト4でこの年の『チャイナオープン』優勝者の張玉龍(中国)とまさにワールドクラスと呼べる選手達を悉く打ち負かし決勝まで進んだ。特にベスト8の張榮麟戦では大井の極限の集中力から繰り出される高精度なショットと台湾最強軍団の中でもトップクラスの実力を持つ張のハイレベルなプレーに、会場中が2人の勝負を固唾を呑んで見守った。勝負は10-10のヒルヒルにまで持ち込まれる程の大激戦となり、迎えた最終ラック。それまで高いセーフティ力を発揮していた張が?を痛恨のファウル。フリーボールから大井が取り切り、11ー10で見事準決勝に進出した。この試合は大会のベストバウトとなった。
レイモンド・ファロン(フィリピン)。この優勝を機に日本でも名が知られるようになった
決勝戦の相手はフィリピンの新星、レイモンド・ファロン。ステージ1から出場ながら決勝トーナメントへと進出すると、同胞のデニス・オルコロや、ヨハン・チュアらを破って決勝戦へと勝ち上がった。この試合、大井は会場中の声援を一身に受け、日本代表としてファロンを迎え撃ったが、流れをなかなか自分のものにできないままファロン優勢で試合が進み、結果は8-11で惜しくも敗れ初優勝とはならなかった。
今年はシーズン前半に国内敵なしの強さを見せていたが、優勝を逃した『東日本グランプリ第5戦』以降、少々調子を落とし気味であった。しかし、大井の持つショット力、数多の海外戦で培われてきた経験・精神力はランキングを落とそうが国内随一。大会期間中は大井もワールドクラスの1人としてフィリピン・台湾のアジア勢やアメリカ・ヨーロッパの強豪達を破り、存分に大会を盛り上げてもらいたい。