篭谷清志が兵庫対決をヒルヒルで制してV!
8月4日の日曜日。大阪の『玉出ビリヤードACE』(予選は他複数店舗併用)において、『第27回オールジャパンサマーカップ』が開催された。この大会はアンダーB(B級以下の選手が対象)の西日本ビッグトーナメントのひとつで、主催はJPBA。今年も210名の参加者を迎えて盛大に執り行われた。フォーマットはナインボールの4ラック先取。ベスト32に残った選手が決勝会場へ集結した。
会場となった『玉出ビリヤードACE』
ベスト8に残った布陣を府県別に数えると大阪が5人と兵庫が3人。このあたりになると、A級B級の判断が難しいレベルの選手が揃い、4先というゲームで勝敗を占うのは難しくなる。実力に加え流れも掴んで準決勝に進出を果たしたのは、枠順に金澤蒼生(兵庫・サムライ)、松本良太(大阪・サン)、篭谷清志(兵庫・ダンネクスト)、佐藤秀之(大阪・タツミ)の4名。両テーブルともフルゲームに及ぶ激闘の末、金澤と篭谷が決勝へ駒を進めた。
金澤蒼生
金澤は平成19年生まれの小学6年生。平成19年といえば、大井直幸を筆頭とした”JPBA花の40期生”がプロ転向を果たした翌年。アンダーBの大会とはいえ11歳のファイナリスト誕生には驚きを隠せない。対する篭谷はブランクはあるものの、ビリヤードを始めたのは約20年前。丁寧な組み立てにキャリアを感じさせるプレイヤー。ともに兵庫県だけでなく関西圏では知名度が高く、どちらがタイトルを手にするのか注目が集まる中ゲームはスタートした。
まず金澤がほぼパーフェクトに近いプレーで2-0と先行。しかし篭谷も落ち着いた様子で仕掛けたセーフティから主導権を奪い2-1。さらにチャンスを逃さず2-2と追いつく。しかし第5ゲームでブレイクスクラッチを喫すると、難解な配置を金澤が??キャノンショットで沈めて王手をかけた。緊迫したムードの第6ラックは?でセーフティ戦となり、金澤が攻めて決めるもスクラッチしてしまい、ゲームは遂にヒルヒルに。
篭谷清志
篭谷はブレイクインもプッシュアウトを選択。ここから両者根競べのセーフティ合戦に。制したのは金澤だったが、ヒルヒルに好形なし。残り3球の?で渾身のショットを放ち合った末、チャンスを得た篭谷が丁寧に3球を沈めて大きなタイトルを手中に収めた。篭谷は「このところ戦績も揮わず『僕には無理なのかな』と思っていたので、とにかく嬉しいです」と最近の苦悩を明かし、大きな喜びを満面の笑みで語ってくれた。積み上げを重ねたビリヤードが開花し、次なるステージでも期待が寄せられる。
写真左から3位タイ:松本良太、優勝:篭谷清志、準優勝:金澤蒼生、3位タイ佐藤秀之
一方、決勝戦では惜しくも敗れたが金澤の実力も相当なもの。師でもある竹中寛プロ(JPBA)も「センスが良いというのか、球を教えてもとにかく吸収するのが早い」と金澤の未来に期待を寄せる。金澤自身も「目標はプロになること」を掲げ、その先にも大きな目標を抱いている。プレイヤーである両親も「好きなように楽しんで」、「夢に向かって頑張って」と後押しする。
大会で納得のいく結果が出る人はほんの一握り。しかし会場のあちこちで見かける所属店舗や府県の枠を超えた交流は、ビリヤードという共通の趣味を持つ仲間の輪の広がりを如実に表すもの。また持ち帰る経験値は賞状以上に価値があるものだとも、あらためて感じる一日となった。ビリヤード愛好家たちの夏は、まだ始まったばかり。
by Akira TAKATA