栗林美幸が大会最多の6勝目!
『第17回関西ナインボールレディースオープン』@大阪『玉出ビリヤードACE』
会場となった『玉出ビリヤードACE』
1月26・27日(土・日)に大阪の『玉出ビリヤードACE(予選は『マグ・スミノエ』)で開催された『第17回関西レディースオープン』。(男子の記事は一昨日に公開済)結果から先に入ると、栗林美幸が2年ぶり6度目の優勝を飾り、河原千尋と同数で並んでいた大会最多勝の記録を更新した。それでは決勝日の様子を振り返ってみよう。
左から、3位タイ・谷山和子、優勝・栗林美幸、準優勝・大井由希子、3位タイ・小西さみあ
土曜日の予選でベスト8まで絞り込まれた女子は、男子のベスト16の回転が中盤に差し掛かろうという頃に集合した。その顔ぶれは、枠順に河原、大井由希子、谷山和子、土師理恵子、曽根恭子、小西さみあ、栗林、久保田知子の8名。この中で本大会の優勝経験を持つのは4人。ちなみに回数は、河原と栗林が5度ずつ、そして曽根が2度、大井が1度で、4人合わせると過去16開催中、13回を制した計算となる。残りの3回は梶谷景美の2回と高木まき子の1回で、本大会のタイトル分布ぶりはやや特異かもしれない。
優勝・栗林美幸
ベスト8で昨シーズンも独走態勢で6年連続日本一の座についた河原が、ヒルヒルの激闘の末、大井に敗れる。近年は試合出場が限定的でランキングを下げている大井だが、「練習は出来ています」と仕上がった様子。この試合でも鋭くキューを突っ込む大井らしいショットを随所で決めており、また自身も「去年の選手権がダメだったけれど、昨日の予選を敗者側で勝ち上がる過程で試合が楽しいものだと思い出せた。キューも替えてリフレッシュできたのかも?」と、好感触を得ている様子。高いポテンシャルと経験値を持つだけに、今年も出場する試合は要チェックという状況だ。また前日の最終で平口結貴を倒した曽根は、小西に敗れてここで終了となった。
準優勝・大井由希子
曽根の話を続けると、今大会で栗林が大会最多勝の記録を打ち立てたが、実は曽根も新記録を樹立していた。それは大会最多決勝日進出回数。男女共催のオープン戦では、女子の決勝日はベスト8からというのが定番で、この関西オープンもしかり。第17回大会にして11度目のベスト8入りを果たした曽根はこれで単独首位。振り返れば、関西レディースオープン第1回大会(2003年)のファイナルカードが、曽根とプロデビュー戦であった栗林(当時は福家姓)の対戦(優勝は曽根)。相性というか何かの縁を感じるところだ。
3位タイ・谷山和子
話を試合に戻すと、準決勝は大井 vs 谷山、小西 vs 栗林のカードとなり、この時点で決勝戦の東西対決が確定した。どちらのテーブルも中盤から逃げ切る形で、大井と栗林がともに7-3のスコアで決勝戦へと駒を進めた。大井とは普段から一緒に練習をしているという谷山は、以前から備える安定感がさらに増した印象。また先輩プロが揃って注目する小西は、プロ2年目に入りトーナメントの雰囲気にも慣れ、いよいよ爆発間近といった感触。開幕戦で表彰台に立った2名をマークしておきたいところだ。
3位タイ・小西さみあ
そしてファイナル。大井と栗林が決勝戦で対戦するのは、8年以上ぶりのことだが、今回で5度目。通算3勝1敗で大井が勝ち越しているが、本大会で対戦した2007年は栗林が勝利をおさめている。久しぶりの頂上決戦は、栗林のマスワリでスタートした。その後、両者が巧みなセーフティを織り交ぜる展開の中、栗林がほぼノーミスのプレーで4-0とリードを奪う。ここでタイムアウトを挟んだ大井が、チャンスを得点につなげる格好で2点を返す。だが4-2のスコアで迎えた第7ラックで、栗林が再び主導権を取り戻す。そして3連取を決めて最終スコアが7-2で本大会6度目の優勝を果たした。
夫婦揃っての決勝進出! 左・栗林達、右・栗林美幸
これで栗林は、本大会への出場が15回(産休の欠場が2回)で、優勝が6回と準優勝が2回。優勝率が40%、決勝戦進出率が53%という驚異的な数字を示すこととなった。試合後に「嬉しいです」と、明るい表情でシンプルにコメントをした栗林。だが見据えるものは大きく、着々と準備を整えている。勝手な推測だが、そんな風にも見受けられた。中堅層の成長目覚ましい国内女子戦線において、トップグループが更に上昇気流に乗る、2019年は一段とエキサイティングな年になりそうだ。
男子優勝・吉岡正登(左)、女子優勝・栗林美幸(右)
Akira TAKATA