スリークッション
どんなゲーム?
日本のビリヤードの歴史において、ポケットビリヤードよりも先に普及したのが、ポケットのないテーブルを使い、手球を複数の的球に当てることで得点となるキャロムビリヤード。スリークッションはその中にあって、現在最も多くのプレイヤー達が楽しんでいるメインゲームと言えるでしょう。使用するボールは白、黄、赤の3つだけで、ルールも至ってシンプル。けれどもスリークッションには、手球を思い通りにコントロールする喜びという、ビリヤードの大きな醍醐味がたくさん詰まっているのです。
ゲームの基本ルール
- ■使用するボール
- 白ボール、黄ボール、赤ボールの3個。その内、先攻プレイヤーの手球は白ボールで、黄と赤が的球となる。後攻プレイヤーの手球は黄ボールで、白と赤が的球となる。
- ■初期配置
- 黄ボールと赤ボールをそれぞれ所定の位置へ、先攻のプレイヤーの手球となる白ボールも所定のサーブスポットに置く。(図1)
- ■基本ルールのポイント
- 手球を撞いて2つの的球に手球を当てます。その際、2つめの的球に当たる前までに、必ず手球が3回以上クッションに入らなければなりません。ショットに成功すれば1点となります。
ゲームの流れと勝敗
Step1:対戦形式を決める
対戦前に所定の点数、またはイニング(キュー)数を決めて、その後バンキング(図2)で先攻・後攻を決めてゲームスタートです。
トーナメントなどでは、30点や40点ゲームなどと勝利に必要な点数をあらかじめ定めてゲームをすることがほとんどですが、通常ビリヤード場では、25イニング(キュー)を一区切りとして1ゲームがプレーされるのが主流となっています。この時には、例えば「自分25点-相手12点」などのように、プレイヤーのレベルに応じたそれぞれの「持ち点」を勝利に必要な得点としてゲームを進めます。
Step2:ブレイクショットからゲームの終了まで
先攻のプレイヤーがサーブスポットの手球をショットしてゲームスタートです。ポケットビリヤードと違い、ブレイクショットではなく、初期配置から基本ルールに則って得点を目指すショットを行います。これを「サーブ」「初球」などと呼びます。(図3)
この時にファウルすることなく、手球を3回以上クッションに入れた後に2つめの的球にも当てられたら1点を獲得して、ショット後の現状の配置からプレーを継続します。このまま得点を挙げ続けている間はプレーを続けることができ、ファウル、もしくは得点できなかった場合に、ターンは交代となります。この時に先攻プレイヤーが挙げた得点をスコア表等に記入します(多くの場合、ビリヤード場には専用の黒板型のスコア表が設置されています)。ターン交代後の後攻プレイヤーは現状の配置からプレーを再開して先攻プレイヤー同様にプレーを進め、先攻・後攻両方のプレイヤーがそれぞれのターンを終えた段階で1イニング(キュー)が終了します。(図4)
このサイクルを繰り返していき、先に規定の点数に達したプレイヤーが勝ちとなります。また、例えば25イニング(キュー)でゲームを進めていた場合には、25イニング(キュー)以内にどちらかが規定の得点に達したら、そのプレイヤーの勝ち、どちらも達しなかった場合にはドロー、もしくは、25イニングで獲得した得点と持ち点から、以下のように1ゲームのアベレージを算出して、それが高かった方を勝ちとする方法もあります。
- (1)プレイヤーA:持ち点12点で得点が10点 アベレージは10÷12=0.8333
- (2)プレイヤーB:持ち点25点で得点が20点 アベレージは20÷25=0.8000
- (3)0.8333対0.8000でプレイヤーAの勝ち
楽しく遊ぶためのルールのポイント
キャロムビリヤード共通の以下のファウル項目が適用されます。
- (1)球触り
ショットの際に手球に触れて良いのはキュー先に付いている革製のタップだけ。それ以外の部分が触れるとファウルになります。またゲーム開始から終了までの間、レフェリーがいる場合にはプレイヤーがボールに触れるとファウルになります。 - (2)球違い
バンキング後は先攻プレイヤーの手球が白ボール、後攻プレイヤーの手球が黄ボールに確定します。プレー中に誤って相手プレイヤーの手球を撞いた場合にはファウルとなります。 - (3)球場外
ショットされた手球がテーブル外に飛び出した場合、ショットによって的球がテーブル外に飛び出した場合にファウルとなります。 - (4)2度撞き
ワンショットの間にタップが手球に触れて良いのは一度だけです。一旦ショットされた手球を2度以上撞くとファウルになります。 - (5)両足が床から離れる
ショットの瞬間は、必ずどちらか片方の足が、つま先だけでも地面に触れていなければなりません。例えばテーブルの上に腰掛け、両足が宙に浮いた状態でショットするとファウルとなります。 - (6)ミスジャンプ
下の撞点を撞きすぎた時などに、キュー先が手球の下に潜り込んで、その後で手球をすくい上げるような形となるショットはファウルとなります。 - (7)動いているボールを撞く
プレイヤーは常に全てのボールが停止した状態からプレーを始めなければなりません。たとえ得点していたとしても、まだ手球が静止していない状態でショットするとファウルとなります。 - (8)手球がタッチしているボールから撞いた時
手球が相手の手球か赤ボール、またはその両方とタッチしている時に、その的球に向かってショットするとファウルとなります。 - (9)タッチしているクッションに向かって撞く
手球がクッションとタッチしている場合、タッチしているクッションにキューを向けてショットするとファウルとなります。 - (10)セーフティの禁止
スリークッションでは、明らかに得点する意志がない、相手が得点しにくい状況を作るためだけのショット、つまりポケットビリヤードにおけるセーフティは禁止されており、これを行った場合ファウルではなく、試合の場合は即座に失格負けとなります。ただし、得点を狙いながら、もし失敗した場合に相手が得点しにくい状況を残す、アンドセーフティは許容されています。試合の場合、この判断はレフェリーに委ねられることになります。
Foul2:ファウルした場合
スリークッションでファウルを犯した場合はターンが交代となり、球場外の場合を除いて、相手プレイヤーは現状の配置からプレーを再開します。球場外の場合には、手球、相手の手球、赤ボールの処理について以下のように決められています。(図5~図7)
スリークッションでは2つの的球の両方に当てることを前提にして、2つめの的球に当たるまでに3回以上クッションに入れなければならないルールとなっています。その際に最初に当てる的球は相手の手球でも赤ボールでもどちらでもよく、また、最初に一つめの的球に当てた後にクッションを使っても、最初にクッションを使ってから的球に当てても構いません。実際の得点パターンをまとめると以下のようになります(図8~図11)。
Original Rule3:立て直し
スリークッションでは手球が相手の手球か赤ボール、またはその両方とタッチした場合に、プレイヤーは以下のように、手球と他のボールを所定の位置に移動させてからプレーを再開できる「立て直し」のルールが採用されています。(図12~図14)
Original Rule3:ドローがある
スリークッションはイニング(キュー)制で争われるために、例えば40点先取のゲームで先攻プレイヤーが先に40点に達したとしても、後攻プレイヤーが同イニングで同じく40点に達した場合は同点となります。ゲームにより、この状態をドロー(引き分け)にする場合と、先攻プレイヤーが規定の得点に達した時点で勝ちとする場合があります。先攻プレイヤーが規定の得点に達した後に後攻のプレイヤーがショットする際には、テーブル上を初期配置に戻した後にプレーを再開します。