スヌーカー
どんなゲーム?
ポケットビリヤードのテーブルの1.5倍のプレーエリアで、ポケットビリヤードよりも一回り小さい手球1個と21個の的球を使ってプレーされるスヌーカー。日本では現在、プレーする場所がまだまだ少ないのが現状ですが、本場であるイギリスではプロスポーツとしても人気が高く、アジア圏でもビリヤードと言えばスヌーカーという国も多く、世界的には最もプレー人口の多いビリヤード競技とも言われています。また、スヌーカーはプレーするだけでなく、観戦スポーツとしても世界中に多くのファンを持っています。
ゲームの基本ルール
- ■使用するボール
- 手球1個と21個の的球。的球の内15個がレッドボールで、残りの6個がイエロー、グリーン、ブラウン、ブルー、ピンク、ブラックのカラーボール。
- ■初期配置
- レッドボールをピラミッド型に組み、その他のカラーボールとともに所定の位置に配置します。手球は先攻のプレイヤーがDゾーン内の任意の位置に置きます。(図1)
- ■基本ルールのポイント
- まず、スヌーカーでは、以下のように的球にそれぞれの点数が設定されています。
レッド:1点、イエロー:2点、グリーン:3点、ブラウン:4点、ブルー:5点、ピンク:6点、ブラック:7点
プレイヤーは的球をポケットに入れる(スヌーカーでは「ポット」という)と、その的球の点数を得点として獲得しますが、プレーが開始されて得点を挙げるためには、まず最初にレッドボールをポットしなければなりません。レッドボールのポットが成功すれば、その直後のショットでは事前に指定したどのカラーボールを狙っても良く、それがポットできればまたレッドボールを狙うというように、レッドボールがテーブル上に残っている間は、レッドボール→指定した任意のカラーボール→レッド→指定した任意のカラーボールという順番でポットしていきます。ショット時にプレイヤーが最初に当てなければならない的球と最初に当てることはできないがポットしてもよい的球を「ボールオン」と呼び、ポット後のショットで最初に手球を当てることを指定した的球を「ノミネートボール」と呼びます(図2)。 - レッドボールがテーブル上に残っている間は、ポットされたカラーボールは、その都度所定の位置(図1)に戻されます。その後、テーブル上に残っている最後のレッドボールをポットした後に指定した任意のカラーボールをポットした後は、点数の低いイエローから最後のブラックまでのカラーボールを順番にポットしていきます。この時にはポットされたカラーボールは戻しません。
ゲームの流れと勝敗
Step1:対戦形式を決める
スヌーカーでは、ポケットビリヤードの「1ラック(ゲーム)」に相当する「1フレーム」がゲームを進める単位となっており、1フレームをプレーして相手より多くの得点を獲得したプレイヤーがそのフレームの勝者となり1ポイントを獲得します。対戦する際にはあらかじめ勝利に必要な獲得フレーム数を決めて、その後先攻・後攻を決めてゲームスタートです。試合によって、バンキング(図3)やコイントスなどの方法が採用されるます。
トーナメントなどでは、基本的な対戦形式を「best of 5」(3フレーム先取)「best of 13」(7フレーム先取)などと表現します。もし相手と実力差があるなら、「HC25」「HC10」などとハンデキャップの点数を決めて、それをもらう側のプレイヤーが、フレーム開始時に「25点」「10点」を得点した状態からスタートします。ちなみに1フレームで可能な最高得点は、「レッド→ブラック」(1+7=8点)のポットを15回繰り返した後にイエローからブラック(2+3+4+5+6+7=27点)までをポットした合計の147点です。また、「相手3-1自分」と獲得フレーム数でハンデを付けてプレーする方法もあります。
Step2:ブレイクショットからゲームの終了まで
先攻のプレイヤーがDゾーン内の任意の位置からブレイクショットを行ってゲームスタートです。スヌーカーでは、テーブル上にレッドボールが残っている間は、プレイヤーは自分のターンの最初のショットで、必ず最初にレッドボールに手球を当てなければなりません。このため、ブレイクショットでレッドボールをポットしてプレーを続けるのが難しいことを考えて、相手に撞きにくく、狙いにくい配置を残すセーフティブレイクが定石となっています(図4)。
この後、後攻のプレイヤーは、レッドボールをポットして得点を獲得することを第一の目標にプレーします。レッドボールを狙ってポットできればプレーを継続して、次に、指定した任意のカラーボールを狙います。この時、レッドボール→カラーボールの順番でポットを続けている間は得点が加算されていきます。この連続得点のことをスヌーカーでは「ブレイク」と呼びます。ファウルのないミスやセーフティで狙うべき的球(ボールオン)がポットされなかった場合には、そのまま相手とターンを交代します。
スヌーカーのゲームでは、ブレイクショットからどちらかのプレイヤーが最初のレッドボールをポットするまでの間に、互いがセーフティを繰り返して、レッドボールをポットできるチャンスをうかがう展開が多く見られます。その後は基本ルールに則って、最後のブラックボールがポットされるまでゲームは進められ、この時点でより高い得点を獲得したプレイヤーがフレームの勝者となります。このサイクルを繰り返して、先に規定のフレーム数に達したプレイヤーがゲームの勝者となります。
楽しく遊ぶためのルールのポイント
Foul1:ファウルの種類
スヌーカーのファウルは、ビリヤードに共通するものから競技独自のものまで細かく規定されています。その中の主なものは以下の通りとなっています。
- (1)インオフ
手球がポケットに入ってしまうファウル。ポケットビリヤードで言う「スクラッチ」です。 - (2)球触り
ショットの際に手球に触れて良いのはキュー先に付いている革製のタップだけ。それ以外の部分が触れるとファウルになります。 - (3)ノーヒット
ショットされた手球がどの的球にも当たらなかった場合はファウルとなります。 - (4)球違い
ショットされた手球が、狙うべき的球(ボールオン)に最初に当たらなかった場合はファウルとなります。 - (5)狙うべき的球(ボールオン)以外の的球をポットした時
狙うべきボールがポットされるされないに関わらず、それ以外の的球がポットされた場合はファウルとなります(図5)。ただし、レッドが狙うべき的球(ボールオン)の時に、それ以外のレッドがポケットに落ちた、または狙うべきレッドと同時にそれ以外のレッドもポケットに落ちた場合はファウルとはなりません。
- (6)球場外:ショットされた手球がテーブル外に飛び出した場合、ショットによって的球がテーブル外に飛び出した場合にファウルとなります。
- (7)プッシュショット:手球と的球がタッチあるいは非常に近い場合に、その的球の方向に向かってショットするとファウルとなります。また、手球と的球の衝突後にタップが手球に接触している場合もファウルとなります。これは二度撞きを禁じた項目です。
- (8)両足が床から離れる:ショットの瞬間は、必ずどちらか片方の足が、つま先だけでも地面に触れていなければなりません。例えばテーブルの上に腰掛け、両足が宙に浮いた状態でショットするとファウルとなります。
- (9)ジャンプショット手球が狙うべき的球(ボールオン)に当たる以前に他の的球を飛び越えた、また飛び越えなくてもそのように手球がジャンプした場合にはファウルとなります。
- (10)動いているボールを撞く:プレイヤーは常に全てのボールが停止した状態からプレーを始めなければなりません。たとえ得点していたとしても、まだ手球が静止していない状態でショットするとファウルとなります
Foul2:ファウルした場合
スヌーカーでファウルがあった場合、ファウルの種類やファウルの状況によって4~7点までのポイントが対戦相手に加算されます。それをまとめると以下のようになります。
- (1)ペナルティの最低点は4点。
- (2)ペナルティの点数はファウルを犯した際に関係していた的球の点数によって変動します。例えばレッドが関係したファウルの場合、的球の点数は1点ですが、ペナルティの最低点は4点のため、そのまま4点が対戦相手に加算されます。イエロー(2点)、グリーン(3点)、ブラウン(4点)が関係したファウルの場合も同様に、ペナルティは4点となります。ブルー以上のカラーボールが関係したファウルを犯した場合は、それぞれ5~7点までのペナルティが課せられます。(図6)
- (3)以下のファウルを犯した場合は無条件で7点のペナルティとなります。
- ●すでにポットされた、あるいは場外となってテーブル上にないボールを使った
- ●手球以外のボールを手球として使った
- ●レッドをポットした後、連続してレッドに最初に手球を当てた
- ●レッドをポットした後、指定していないカラーボールをポットした
- ●レッドをポットした後、カラーボールを指定する以前に何らかのファウルを犯した
- ●距離や狙いなどを計測するために器具を使用した
Foul3:ファウル後のプレー再開
スヌーカーでファウルがあった場合、相手プレイヤーにはプレーを再開する前に、残された現状の配置を自分でショットするか、パスして相手にショットさせるか(プレーアゲイン)の以下の2つの選択権が与えられます。インオフ(スクラッチ)、もしくは手球場外の場合は、手球はDゾーン内の任意の位置からプレー再開となります。
Foul4:ファウル&ミス
スヌーカーでは、通常のファウルの他、試合によってファウル&ミスが適用される場合があります。これは、狙うべき的球(ボールオン)に手球を直接当てられる状況にも関わらず、そのための最大限の努力を怠ったとレフェリーによって判断された場合に適用されるものです。ファウル&ミス後にショットの権利を持ったプレイヤーには、上記2つの選択権の他に、配置をファウル&ミス直前の状態に戻して、相手にもう一度ショットさせる(リプレイス)権利が与えられます。プロの試合においては、狙うべきボールに当たらなければ、ほとんどの場合においてミスがコールされています。
スヌーカーでは、狙うべき的球(ボールオン)が他の的球に邪魔されて、手球を直接当てられるコースが一つも見付からない状態のことを、そのゲーム名と同じく「スヌーカー」と呼びます。(図7)。
Original Rule2:フリーボール
ファウルが起こった後に残った配置が「スヌーカー」だった場合、ファウル後にショットの権利を持つプレイヤーは、任意のカラーボールを狙うべき的球(ボールオン)に指定してショットすることができます。この時に狙うべき的球として指定された的球(ノミネートボール)をフリーボールと呼びます(図8)。この時の点数は、本来狙うべき的球の点数となり、ポットされたカラーボールは所定の位置に戻されます。
もちろんこの状態をパスして相手に現状の配置をショットさせるプレーアゲインも選択する選択することができ、この時には相手プレイヤーにフリーボールは与えられません。また、フリーボールからショットしたプレイヤーが再びスヌーカー状態を作るとファウルとなります。
Original Rule3:コンシード
スヌーカーの1フレームは基本ルールに則って進められ、最後のブラックボールがポットされた時点でより高い得点を獲得したプレイヤーが勝利となって終了しますが、フレームの途中で、ショットの権利を持ったプレイヤーが自分の負けを宣言した場合も、そこでフレームが終了となります。この宣言をコンシードと呼びますが、例えば、テーブル上に残るボールを全てポットして最大限の得点を獲得しても相手に追い付かないとプレイヤーが判断した場合などに使われます。
Original Rule4:同点の場合
スヌーカーは1フレームの得点戦でゲームが進むため、最後のブラックボールがポットされた時点で、両プレイヤーが同点となることがあります。その場合にはブラックボールを所定のスポットに置き、改めて先攻後攻を決めた後に、先攻のプレイヤーがDゾーン内からショットします(図9)。
この後、お互いにターンを繰り返して、先にブラックボールをポットしたプレイヤーがフレームの勝者となります。また、ファウルがあった場合はその時点でファウルを犯したプレイヤーがフレームを失います。
Original Rule1:ノークッションのショット
ポケットビリヤードには主要なファウルの一つとして、手球が的球に当たった後、的球がポケットに落ちなかった場合、手球、もしくはいずれかの的球がクッションに入らなければならないというノークッションファウルが存在しますが、スヌーカーでは適用されません。