ナインボール
ナインボールとは
ブレイクショットでポケットしても、ゲームの途中で偶然ポケットされても、とにかく9番ボールをポケットした方が勝ちという単純明快さと運の要素も盛り込まれたゲーム性が特徴ですが、もちろん技術も必要とされます。実は最小番号の的球から順番に当ててポケットしていくという制約を守りながら、最後の9番までミスせずに落とし続ける『ブレイクランアウト』(マスワリ)はかなりハイレベルなワザであり大きな見せ場。だからこそ長年、ナインボールは世界中のトーナメントの場でも戦われ続けています。
ナインボールの基本ルール
■使用するボール
1番~9番ボールまでの的球9個と手球。
■ラックの組み方
ブレイクショットをする側から見たラックの頂点に1番ボール、その後ろ3列目の中央に9番ボールを配置します。その他のボールは任意の位置で構いません(図1)
■ゲームの目的
相手より先にボールをポケットする。
■基本ルールのポイント
プレーの権利を持っているプレイヤーは、ショットの際、最初に必ずテーブル上に残っている最小番号の的球に手球を当てなければなりません。
ナインボールの流れと勝敗
Step1:対戦形式を決める
9番ボールをポケットしたプレイヤーが1ポイント獲得して1ラック(1ゲーム)が終了となるため、対戦する際には、あらかじめ5ラック(ゲーム)先取や7ラック先取(プレイヤーはこれを「ゴサキ」「ナナサキ」などと省略したりします)などと対戦形式を決めます。その後バンキング(図2)で先攻・後攻を決めてゲームスタートです。
もし相手と実力差があるなら、「相手4-2自分」と獲得ラック数でハンデを付けたり、「相手は9番ボール、自分は7番以上のボールを入れたら1ポイント」というように、ボールハンデを付けてプレーする方法もあります。
Step2:ブレイクショットからラックの終了まで
先攻のプレイヤーがブレイクショット(図3・4)を行ってゲーム開始。
この時にファウルすることなく、9個の的球の内のいずれかのボールがポケットされればそのままプレーを続行し(9番ボールがポケットされればその時点で1ポイント獲得)、ファウル、もしくはどの的球もポケットされなかった場合にターンは交代します。
その後は、いずれの場合も、ショットするプレイヤーは基本ルールに則ってプレーを続け、最終的にファウルすることなく9番ボールをポケットしたプレイヤーが1ポイントを獲得します。このラックを繰り返して、あらかじめ決めておいた所定のラック数に早く到達したプレイヤーが、対戦の勝者となります。
楽しく遊ぶためのルールのポイント
Foul1:ファウルの種類
ポケットビリヤード共通のファウル(※)の他、ナインボールでは、ショットされた手球が、最初に最小番号の的球に当たらなかった場合(ノーヒット)、ショットされた手球が最小番号の的球に当たった後、手球、的球のどちらもがクッションに届かなかった場合(ノークッション)がファウルとなります(図5)。
さらにナインボールでは、同じプレイヤーが自分のターンで3回連続ファウルを犯した場合、その時点で1ラックを失うペナルティが適用されます(スリーファウル)。
Foul2:ブレイクショット時のファウル
ナインボールのブレイクショットで的球がポケットインしなかった場合、手球が1番ボールに当たった後、手球も含めて4個以上の的球がクッションに当たらなければブレイクファウルとなり、相手プレイヤーは以下の3つの選択権が与えられます。
- もう一度ラックを組み直して選択権を持つプレイヤーが再度ブレイクショットする
- もう一度ラックを組み直してファウルを犯したプレイヤーに再度ブレイクショットさせる
Foul3:ファウルした場合
ナインボールでファウルを犯した場合、相手プレイヤーは手球をテーブル上の任意の場所に置いて、そこからプレーを再開できます。これを日本では「フリーボール」「手球フリー」などと呼びます(図6)。
Foul4:ファウル後のボールの処理
ファウルとなるショットでポケットされた的球、また球場外となった的球はテーブル上には戻さずに、ポケットされたものとしてプレーを再開します。ただし9番ボールだけは、フットスポット(図6)に戻します。
Original Rule1:9番ボールに関する規定
ナインボールでは、基本ルール内でのセーフショットならば、ブレイクショットで9番ボールを落としても(ブレイクエース)、まだその他の的球がテーブル上に残っている状態の時に偶然9番ボールがポケットされても、ショットしたプレイヤーがそのラックの勝者となります。
Original Rule2:プッシュアウト
例えば、ブレイクショット直後にショットの権利を持つプレイヤーにとってあまり有利とは思えない配置の時、ナインボールでは一度だけ「プッシュアウト」を選ぶ事ができます。これはノークッションやノーヒットのファウルを取られることなく、手球を任意の位置にショットする事ができるルールです(図7)。
プッシュアウトされた側のプレイヤーは、そのままの手球位置で自分がショットしてプレーを再開するか、パスをして相手にショットさせるかを選択することができます。
※ポケットビリヤード共通のファウル
- スクラッチ
ショットした手球が、直接または何らかの的球に当たった後にポケットに落ちてしまうファウル。ゲームの種類によって、その後の処理は変わってきます。 - 球触り
ショットの際に手球に触れて良いのはキュー先に付いている革製のタップだけ。それ以外の部分が触れるとファウルになります。また的球に触れた場合もファウルとなります。 - 球場外
ショットされた手球がテーブル外に飛び出した場合、ショットによって的球がテーブル外に飛び出した場合にファウルとなります。 - 2度撞き
ワンショットの間にタップが手球に触れて良いのは一度だけです。一旦ショットされた手球を2度以上撞くとファウルになります。 - 両足が床から離れる
ショットの瞬間は、必ずどちらか片方の足が、つま先だけでも地面に触れていなければなりません。例えばテーブルの上に腰掛け、両足が宙に浮いた状態でショットするとファウルとなります。 - 目印を付ける
ショットをする時に、自分が狙いたい場所を特定するために、何らかの目印を置くとファウルとなります。