2019全日本オープンローテーション選手権大会
Bクラス優勝・柳川哲也(左)、オープンクラス優勝・小川徳郎
3月16、17日(土・日)の両日、大阪の『玉出ビリヤードACE』(予選は『タツミ』併用)において、『第69回全日本オープンローテーション選手権大会』ならびに『第59回全日本ローテーションB級選手権大会』(17日のみ)が開催された。この大会の特徴は、日本にポケット種目が普及した当時に主であったローテーション種目で開かれること。現在のJPBA公式戦においては、唯一ローテーション種目を採用している大会でもある。歴代優勝者には藤間一男氏や奥村健(現JPBF)といった歴代の名手が名を連ね、大会の歴史と権威を示す。そして先日の記事でも紹介したように、"新感覚"なフォーマットが昨年から採用された。
会場となった『玉出ビリヤードACE』
オープンクラスは前日の予選で絞り込まれた16名が午前9時半に会場に集結。東日本7、西日本8、フィリピンのアントニオ・リニングというバランス良い布陣。その中で歴代大会優勝者は昨年の
杉原匡、一昨年と2013年、2010年と過去3度制覇している
大井直幸、2014-15年に連覇を果たした
田中雅明ら計6人。1回転目(ベスト)16を終えた段階で、枠順に
赤狩山幸男、
羅立文、
飯間智也、大井、
嶋野聖大、
小川徳郎、田中、
和田敏幸というメンバーが「あと3つ」のところに出揃った。
決勝は飯間vs小川
同時進行で進められたB級の部は、120先取という通常フォーマットが採用され、予選のダブルイリミネーションから早い進行で、続々と決勝シングルベスト32の枠が埋まっていった。オープンクラスは準決勝を終えて羅vs飯間、小川vs和田というカードが決まったところで、少し休憩を挟んでB級と試合進行を調整し、午後3時から準決勝がスタート。ここで揃って東西対決となったカードを、飯間が5-3で羅を、小川が5-1で和田を破って、決勝戦も東西決戦となった。飯間は前週に続く公式戦2連勝を、小川は昨年のプロ入り以来2度目の決勝戦進出で、プロ初優勝を、それぞれが懸けてファイナルに臨んだ。
準優勝・飯間智也
小川徳郎
序盤、両者安定した滑り出しで互角の様相で2-2のスコアで折り返す。ここから二人は巧みな攻防を披露しつつ、取り切りのアベレージで上回った小川が、5-2のスコアでプロ公式戦初優勝を飾った。「結果を追い求めすぎず、目の前のテーブルに集中した良い精神状態で試合に臨むことができました」とは試合直後の小川の談話。爽やかな笑顔でそう語った小川は、周知のとおり、アマチュア時代から突出した戦績を残してきた注目のプレイヤー。奇しくも同日、京都で開催された『全日本女子プロツアー』でも同期の
小西さみあが初優勝を遂げた。花の52期生にとって、初タイトルはスタートラインに立った証なのかもしれない。2年目の今シーズンは大いに注目していきたい。
オープンクラス、写真左から3位タイ・羅立文、優勝・小川徳郎、準優勝・飯間智也、3位タイ・和田敏幸
なおB級の部は、ベスト8に入ると例年通り知識とスキルを備えたプレイヤーばかりで、120点が短く感じる試合も多く見受けられた。準決勝に進出を果たしたのは、枠順に柳川哲也(ショットガン)、土井佐希子(ツェット)、阪垣里奈(ツェット)、小川英機(ナイトステージ)の4名。ともに男女対決となり、大会初の女性同士のファイナル実現も予想されたが、柳川は120-99と土井を振り切って決勝進出を決め、反対の山で小川を120-56で下した阪垣とのファイナルが確定した。
柳川哲也
両者揃って安定感があり、緊張感を良い集中に変換して戦った印象の決勝戦。ファーストラックで得たアドバンテージを守り切る形で、柳川が120-21で優勝を飾った。柳川は滋賀ビリヤードクラブに在籍する歴15年のプレイヤー。「(勝因は)ラッキーでした。ただ、今日はいつも以上に良いイメージを持てて、自信を持って撞けました」と、喜びと安堵が交じった様子でコメント。ファイナルに限らず、上位入賞者たちはいずれも劣らぬ実力を備えていて、次のステージ(A級)を考えると、決勝・準決勝あたりは240点くらいにゲームを伸ばしても面白いのではないか? と感じた次第。いずれにしても次のステージでも活躍に期待が寄せられる。
Bクラス、左から3位タイ・小川英機、優勝・柳川哲也、準優勝・阪垣里奈、3位タイ・土井佐希子
なお、オープンクラスのファイナルは後日、
CBNTで映像を公開する予定です。どうぞお楽しみに!
by Akira TAKATA