『ビリヤード小林』@東京・新大久保
優勝を果たした甲斐譲二
2月10日(日)東京・新大久保の『
ビリヤード小林』にて、『第25回 東京オープン』が決勝日を迎え、
甲斐譲二が実に19年ぶりとなる3度目の制覇を果たした。前回・前々回に甲斐が『東京オープン』制したのが第5回と第6回。連覇を果たして以降優勝からは遠ざかっていたが、全日本を3度に渡り制したベテランがその底力を遺憾なく発揮する結果となった。先に総括となってしまうが、今大会は順当な結果があり、波乱もあり、そしてベテランが大きな存在感を示すなど、最後まで先が見えない非常に見応えのある大会となった。それでは試合を振り返っていこう。
『第25回東京オープン』会場『ビリヤード小林』
フォーマットは30点先取。決勝日となる10日はベスト28のトーナメント戦から始まった。尚、シード選手である
新井達雄、
森雄介はベスト16から参戦したため、ベスト28と変則トーナメントとなっている。この回転では、JPBFランキング26位の
町田正が同8位の
田中潤に30−28、
宮下崇生(17位)vs 荻原孝正(14位)が30−29と、この日の初戦から白熱したゲームが多かった。
渥美敏光(アマチュア)
続くベスト16でも観客が立ち見スペースまで埋まるなど大いに盛り上がりを見せた。ここで注目すべきはアマチュア選手で唯一勝ち残った渥美敏光だ。ベスト28戦では
神原正嵩相手に30−16で勝利し、ベスト16では全日本優勝経験もある
界敦康と対戦し、同じく30−16で勝利、今大会の台風の目となる活躍を魅せた。この回転から参戦した新井達雄は、女性プレイヤーでここまで残った
林奈美子と対戦し、30−11と昨年MVPの実力を見せつけた。
一方、もう1枠のシード選手の森雄介は
清田篤司に対して劣勢を強いられる。清田は前日ハイラン11を出して予選を突破し、この日も好調を維持し、序盤から森を突き放し森の初戦敗退かと思われたが、中盤以降森が昨年ランキング2位の意地を見せた。中盤で足踏みしていた清田に対して、ハイラン6を含む追い上げで一時は10点以上あった差を21イニングで27−27のタイとした。しかし逆転とまではいかずその裏で清田が3点を撞き切り、27−30で森の初戦敗退が決定した。
清田篤司(左)vs 森雄介(右)
ベスト8戦、ここまで安定したスコアで勝ち上がった甲斐と先ほどの激戦を制した清田の対戦。ここでも甲斐は落ち着いたプレーを続け30−10でベスト4へ駒を進めた。台風の目となっていた渥美だったが、
小林英明を相手に17−30でここで力尽き、
船木耕司と
竹島欧の対戦は30−19で、船木・小林がベスト4へ進出した。この回転で盛り上がりを見せたのが新井達雄と
梅田竜二の日本トップのベテラン同士の対決だ。両者の意地と意地がぶつかり合い、最後まで結末の見えない戦いだったが、30−29とほんの僅かな差で梅田に軍配が上がった。
ベスト4。左上・甲斐譲二、右上・小林英明、左下・船木耕司、右下・梅田竜二
準決勝の組み合わせは甲斐譲二 vs 小林英明、船木耕司 vs 梅田竜二。この両対戦はスピード戦となった。甲斐は2イニングにハイラン7を出し、その後も7・8イニングに5点とビッグイニングを量産し、16イニングで30−17と圧倒した。船木と梅田の対戦も、船木が3イニングに8点、13イニング21−12の状況でハイランとなる9点を撞き切り、甲斐・船木がそれぞれ決勝進出を果たした。
決勝戦!甲斐譲二
決勝進出を果たした甲斐・船木の両名だが、先述したように甲斐は第5・6回、船木は第7回の『東京オープン』を制している。どちらが勝利しても18年以上の間隔を空けた返り咲きの優勝となるマッチアップだ。試合は逆転に次ぐ逆転でお互いに主導権は譲らず迎えた21イニング、先に王手を掛けたのは甲斐。続く22イニングで甲斐は無得点だったが、船木が難配置のスーパーショットで1点差まで詰め寄った。流れが傾きかけたと思われたが、甲斐がベテランらく落ち着いたプレーで残りの1点を取り、見事『第25回東京オープン』優勝を果たした。
最終スコアは30−28、甲斐が23イニング・ハイラン5・アベレージ1.3043、船木が22イニング・ハイラン5・アベレージ1.2727。
優勝が決まった瞬間の甲斐の祈るような仕草がわかる写真を見れば、この試合の緊迫感を物語っていることがわかって頂けるだろうか。
優勝を決めた瞬間!
最終結果は3位タイ・梅田竜二と小林英明、準優勝・船木耕司、ベストアマ賞には渥美敏光が選ばれた。尚、優勝者の甲斐とベストアマ賞の渥美には副賞としてキューケースが贈られた。終始笑顔で閉会式を終えた甲斐は「ラッキーも多かったけど決勝自体が久しぶりなので懐かしかったですし、本当に楽しかったです」とコメント。次回のJPBF主催大会は3月9日(土)の『第19回ニッカオープン』。『東京オープン』同様熱い戦いが見られるに違いない。