西日本グランプリ第5戦
タツミビリヤード
10月28日(日)に大阪の『
タツミビリヤード』(予選は他複数会場併用)において『西日本グランプリ第5戦』が開催された。
結論から先に入ると、
川端聡が爆裂左腕で前戦に続いて西GP2連覇を達成。川端のGP連覇は2011年〜2012年にかけて年またぎの達成以来2度目となる。準優勝は安定感と静かな闘志を見せていた
北谷英貴で、冷静なジャッジと圧巻の攻撃力を披露して会場でひと際の注目を集めていた。
左から3位タイ・児玉利洋、優勝・川端聡、準優勝・北谷英貴、3位タイ・高木悠次
また3位タイには
児玉利洋と
高木悠次がつけて、川端を除くとかなりメンバーが刷新された入賞の面々に。昨年まで西GPキングとして君臨していた
大井直幸が東日本へ移籍した今年。第4戦が台風の影響で中止となった現段階で、4戦中2優勝1準優勝という抜き出た成績を残す川端聡が、新戦国時代の中で華やかな返り咲きを果たした恰好だ。今日は当日の様子と西日本勢力図を紹介していきたい。
児玉利洋
高木悠次
「腹は括っていますから」。
この日、ベスト8の試合を終えた段階でこうコメントをしたのは北谷英。予選で元プロ、後輩プロを倒して本戦会場に姿を見せると、ベスト16で
清川正士を7-4で下す。ここから
黒田祐介をゼロ封、さらに準決勝でも高木を1点に抑えて兄・
好宏のリベンジを果たした。覚悟を決めた様子の北谷英は、攻守ともに抜群の安定ぶりで、初優勝を予想した者も多かったに違いない。
北谷英貴
一方の川端は前戦優勝シードで「ゆっくり練習をできたのが大きかった」と終了後に語った通り、初戦で難敵である
竹中寛が隣に飛び込んでくるも、後半はマスワリ量産で7-1と圧倒し、第1戦ファイナルの借りを返した。
さらにここ3年ほど成長著しい
原口俊行、初の準決勝に気迫みなぎる児玉利洋をそれぞれ1点、2点に抑えて決勝戦へ。ここまでの回転、すべてのゲームで一番に終わる快速ぶりも披露。近年「思うように左腕が振れない」事象に悩まされたが、「克服したのではなく、その状態で出来る最善を尽くしている」という川端。むしろ安定感が増している印象さえ受ける。
川端聡
そしてファイナルは北谷が先行。川端が4-4に並ぶと思われた場面でマスワリの10番をカタカタさせて万事休すか、と思われたが、次のラックで北谷が6-3リーチをかけるマスワリの10番を同じ穴にカタカタさせて流れは一変。
ここから川端がブレイク3個インからのマスワリ、続けて4個インからのマスワリで王手をかける。次ラックはノーインに終わったが、北谷がコースに制約がある1-2コンビを僅かに逸らしてしまい、残り10球を取り切った川端が笑顔満開のシリーズ2連勝を決めた。
川端聡
北谷英のこの日のプレーを見る限り、戦国時代の中で主役に入り込む準備は整ってきたとみてよいだろう。さらに高木や原口、
浅野正人といったGP未勝利組が我も我もとモチベーションを上げて勝利への執念が強まっていると感じさせる。そんな中で、今季の西GPは竹中、田中雅明、川端、川端と40代のベテラン巧者組が制圧。この状況を
杉原匡や
飯間智也らも指をくわえて見ているはずもなく、2019年シーズンはかなり混戦になることが予想される。
なお、川端は優勝後のコメントで「新しいアダムのノーマルシャフトも届いて、よい感触で撞けています。そして、フィーリングで2本のキューをプレー中に使い分けています」と新たな試みについても明かしてくれた。川端がGPの前身である『西日本プロツアー』で初優勝をしたのが1996年のこと。それから22年。また、アジア大会で金メダルを獲得してから12年。経験と知識を蓄え、そして、スピーディでアグレッシブなビリヤードはなおも健在。
ファイナルは後日
CBNTで配信予定なので、両者のランナウト応酬をぜひご覧いただきたい。
By Akira TAKATA