栗林達、3度目の正直
10月6日〜7日(土・日)にかけて、石川県では『第32回北陸オープン』が開催されていた。
JPBAプロランキングが年末の締めくくりを前に山場を迎える秋の大会として、北陸オープンは毎年白熱する。「野々市フォルテ」を特設会場に行われた今年も例に漏れず熱い試合が繰り広げられた。
女子の試合は、9ボール、勝者ブレイク、初日6ラック先取・ダブルイリミネーション、2日目7ラック先取・シングル・イリミネーションで行われ、河原千尋が不動の強さを見せつけた。
河原は、6日(土)の予選を勝者側から勝ち上がると、翌日ベスト16からは、和泉早衣子、元廣麗子、平口結貴をそれぞれ2ラック、1ラック、2ラックに抑えて決勝へと進出。準決勝で久保田知子を7−5で破り決勝へと進んだ栗林美幸と対戦した。決勝は取りつ取られつの攻防が続き、第6ラックが終わって3−3のイーブンに。長期戦へともつれこむかに思えた。
栗林美幸
しかし、第7ラックから河原がブレイクを掴み、2連マス。第9ラックではプレッシャーからか栗林はセーフティのミスが2つ。6−3で河原がリーチを賭けた第10ラック、2番で河原がスクラッチファウル。ミスが許されない栗林だったが、薄いカットの7番を穴前に残し、河原が残り3球を取り切って北陸2度目の優勝を果たした。
河原千尋
昨年優勝の
青木知枝はベスト8で久保田にヒルヒルの末敗れ、タイトル防衛はならなかった。
左から3位タイ:平口結貴、優勝:河原千尋、準優勝:栗林美幸、3位タイ:久保田知子
男子では
栗林達が地元北陸で今期4つ目となる優勝を飾った。オープン戦に限れば1月の関西オープン、6月の九州オープンに続き3つ目だ。10ボール、勝者ブレイク、初日は7ラック先取、2日目8ラック先取で行われた男子の試合には218名の選手が参加した。
『フリーポート松任』から予選を通過した栗林は決勝トーナメントで
田中雅明、
竹中寛の西日本勢を破り準決勝へ進出。
土方隼斗と対戦し8−6で勝利し決勝へと進んだ。決勝では、
小川徳郎を制して勝ち上がった
大井直幸と対戦した。今年に入ってから公式戦での両者の対決は3度目だ。過去2回は奇しくも東日本具ランプリ第1戦と第2戦の決勝で、大井が優勝している。栗林にとってはまさに「3度目の正直」で白星を挙げたい決勝戦だった。
栗林達
そんなトップランカー2人の注目の決勝は立ち上がりから栗林が安定した素晴らしいプレーを見せる。一方の大井はブレイクが決まらず、ミスも出る苦しい出だしとなった。大井がタイムアウトを取った第6ラック前まででカウントは栗林リードの4−1。次ラックも栗林が取り、勢いそのまま大差を付けて優勝かと思われたが、大井も粘る。栗林のシュートミスを拾う形で大井の反撃が始まり、第10ラックには5−5のタイに。
大井直幸
第11ラックのブレイクをしっかりと決め、完全に調子を取り戻した大井。スピード感のあるマスワリで遂に6−5と逆転する。そこからは両者互いに一歩も譲らぬ緊迫した試合となった。カウント7−6で先にリーチをかけたのは大井。しかし、3番のセーフティで手球はサイドポケットへ。10ボールまで栗林がきっちりと沈め、試合はヒルヒルとなった。緊張の第15ラック、コーナーバンクを狙った大井の2番は外れ、栗林にチャンスが回る。そのチャンスをしっかりとものにした栗林。きれいな当て出しを織り交ぜながら最後まできっちりと取り切り、「3度目の正直」を成し遂げると共に地元・北陸オープン初優勝を飾った。
左から3位タイ:小川徳郎、準優勝:大井直幸、優勝:栗林達、3位タイ:土方隼斗
次の公式戦は女子は今週末の「九州レディースオープン」、男子はおよそ3週間後の「西日本グランプリ第5戦」と「東日本グランプリ第4戦」だ。なお、北陸オープンの決勝戦は後日
CBNTにて配信予定なのでお楽しみに!
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