アダムジャパンの今! 第5回
最新モデル、王道の『矢倉』と柔軟な『雁木』
2000年に誕生し現在も国内外の数多くのプレイヤーに愛され続けているアダムジャパンのフラッグシップキュー『MUSASHI』。本社工場では、その製作から発送までの全ての工程が、スペシャリスト達の手によって行われている。
第5回となる【特別企画】アダムジャパンの今。今回は、これまで紹介したシャフト、バットの製作から仕上げまでの工程で生み出されたMUSASHIの最新モデルである『矢倉』(やぐら)と『雁木』(がんぎ)について、そのコンセプトからこれからの展開までを紹介する。
●スペシャリストが一丸となって取り組む
その誕生以来、様々なモデルが製作されてきたMUSASHIは、選りすぐりの素材を全く新たな構造と卓越したハギの技術で組み上げた、アダムジャパンにしかできない逸品として現在もその人気は高い。そんな中で生まれた矢倉と雁木は、アダムジャパンがキューメーカーとして新たなフェイズに入ったことを象徴する最新モデルだ。
これまで紹介してきたように、それぞれのスペシャリストがその知識と技術を駆使して1本のキューを作り上げるアダムジャパン。矢倉と雁木は、ベテランから若手、伝統と最新の全てが融合し、一丸となって生み出された。
約2年前の企画のスタート段階から、より良いMUSASHIを追求していくことコンセプトに、その細部に至るまでがアダムジャパン全体でオープンに話し合われて進められ、これまでになかったアイディアと高い技術で、ハギとインレイを緻密に融合させたモデルが誕生することとなった。
●王道の矢倉
矢倉と雁木というモデル名の由来は将棋にある。ご存知の方もいらっしゃると思うが、どちらも自玉を守る囲い、守備陣形の名前だ。そして矢倉はその中でも代表的な、城壁にも似た囲いだ。
写真を見てわかる通り、矢倉はその名のイメージ通り、アダムジャパンの王道とも言える剣ハギのスタイルを基本にしており、そこにさらにインレイを加えてそれぞれのモデルの個性を演出している。
●柔軟の雁木
一方の雁木は、古くからある囲いの一つで、美濃囲いや穴熊などと比べて少ない手数で囲いを完成できることが特徴の一つで、そのために相手の攻めに柔軟に応戦できることを特徴の一つとしている。
雁木はその柔軟なイメージをMUSASHIに取り込んでおり、写真のように剣ハギと竹の子ハギを組み合わせ、その間に細かな曲線が入り、さらにインレイで1本1本を際立たせるゴージャスなデザインとなっている。
●新モデルの展開
今回紹介している写真のモデルは、すでに行き先が決定しているもので、現在矢倉・雁木とも製作が急ピッチで進められているが、すでにデザインチームを含め、新たな矢倉と雁木を生み出すべく、それぞれにマイナーチェンジを施す第2弾以降の企画も進められている。
今回お話を伺ったところによると、今回動画でも紹介した竹の子ハギにシルバーインレイが入った雁木をスペシャルモデルとして発表して以降、第2弾は年内を目処に発表できればとのことだった。
また、常にバックオーダーを抱え、韓国、中国などからの引き合いも多く、品薄状態が続いているMUSASHIだが、開発者でありアダムジャパンを牽引し続けてきた故・髙平睦生会長の意志をしっかり受け継ぎ、新たな体制作りも進めてきた本社工場の生産量も徐々に上がってきているとのことだ。
アダムジャパン全体で生み出すことをコンセプトに生まれたからこそ、一番の自信を持って市場に送り出された矢倉と雁木を含め、今後のアダムジャパン、そしてMUSASHIの展開にも注目していきたい。