【特別企画】アダムジャパンの今! 第2回
キューメイキングの現場から〜シャフト製作編〜
2000年に誕生し現在も国内外の数多くのプレイヤーに愛され続けているアダムジャパンのフラッグシップキュー『MUSASHI』。本社工場では、その製作から発送までの全ての工程が、スペシャリスト達の手によって行われている。
その工程は材料となる銘木の仕入れ、乾燥・保存から選定に始まり、バットとシャフト用木材の加工、パーツ製作と取り付けから、バットとシャフトを繋いでの加工・仕上げ、そして検品、梱包に至るまで実に多岐にわたる。
今回の取材ではまず、2001年に誕生した初代の『A.C.S.S』(アダム・センターコア・スーパー・シャフト)以来様々なバリエーションが生まれ、今もその打感と性能を愛するプレイヤーの多い、アダム得意のハイテクウッドシャフトの製作工程の一部を見せていただいた。
●シャフト独自のテーパーを正確に形作る
シャフト用の厳選されたメイプル材は、乾燥・保存期間を経て、さらに選別されて荒削りから段階的にシャフトへと成形されていく。今回まず見せていただいたのはプール用のニューシャフト『A.C.S.S PRO 2』にテーパーを付けていく工程。
ここでは導入間もない最新のマシンを使い、プール用、キャロム用を含め、それぞれ独自のテーパーを持つアダムジャパンのシャフトをそれぞれのセッティング通りに、狂いなく形作っていく。もちろんこの工程も一度ではなく、木を寝かせながら何度も丁寧に繰り返していく。
●正確なマシンとスペシャリストの感覚
次に見せていただいたのは、テーパーが仕上がったシャフトにジョイント用の穴を開け、そこにメスネジとなるパイプを入れ、しっかりと接着していく工程。
マシンのセッティング通りに2段階で穴を開け、さらにネジを切り、その後にパイプを入れていく。一見すると流れ作業に見えるほどスムーズなのだが、実はほんの僅かな中心の狂いも許されず、さらにパイプと木材の完璧な密着も求められるため、スペシャリストの目と感覚が不可欠となる。
●完全手作業で正確無比な切削
ジョイント側の加工の次に行われるのが、唯一手球と接触する、シャフトの最重要部分とも言えるキュー先の加工工程。具体的には先角とタップを正確に取り付けるための切削なのだが、この部分は熟練のスペシャリストによる完全手作業で行われている。
緩すぎても、キツすぎてもシャフトとして存分な性能を発揮できなくなってしまう超繊細な部分の加工は一本一本慎重に、しかし、驚くほどのスピードで正確無比に進んでいく。アダムジャパンのシャフトには、こうした熟練の技術が込められているのだ。
●コンマ数ミリ単位の調整もスペシャリストが担当
今回見せていただいたシャフト製作の最後の工程が、テーパーの最終的なサイズ出し。完成目前の状態になったシャフトはここでコンマ数ミリ単位まで正確にそれぞれのシャフトの完璧なテーパーに仕上げられていく。
使われているのはサンダーで、ここも完全にスペシャリストによる手作業によって細かく確認を繰り返しながら精密な加工が行われている。シャフトの種類によるテーパーの違いはもちろん、ここではオーダーメイドのスペシャルなテーパーにも完全対応している。こうして調整が終了したシャフトにはマークが入れられ塗装が施されてようやく完成となる。
アダムジャパンのウッドハイテクシャフトにはそれぞれに個性があり、もちろん企業秘密で公開できない部分もあるため、工程の全てをお見せすることはできないが、一部分ではあっても、スペシャリスト達が、いかに丁寧に、生きている木を大切に扱いながら製作に携わっているかがおわかりいただけたのではないだろうか。
次回は、MUSAHIのもう一つの心臓部であるバット製作の現場を、ニューモデルの加工工程も含めながら紹介していく。
(※今回の『キューメイキングの現場から〜シャフト製作編〜』で紹介した各工程の取材映像は近日アップの予定です)